ーフ・フロアー株式会社

鳥よけの原理

Q. 隙間が空いているのに、どうしてスズメなどの小鳥が入れないの?


A. 営巣可能と言われる隙間があっても次の3つの条件がそろえば、鳥の侵入を防ぐことができます。

条件1 縦穴であること


小鳥の巣箱を樹木に設置するとき、いくつか気を付けなければならないことがあります。そのうちの一つは、巣箱の入り口は必ず横向きです。これはあまりに当たり前すぎて、気を付けるまでもないように思われます。しかし、なぜ、当たり前なのでしょうか。それは巣箱の前に障害物が無い方が好ましい事と関係があります。


入り口を上にすると、鳥は入れるかもしれませんが、雨も入ってしまいます。それに、鳥の姿勢を考えると出入りには、大きめの穴が必要になります。


(a)入り口を真下にして、縦穴にするとどうなるでしょうか。やはり鳥は入れません。いくら飛行機よりは自然界の生き物が敏捷だと言っても、飛翔原理は同じですから、真上に向かって飛ぶことはできません。飛行機も鳥類も基本的な飛翔原理は滑空ですから、真上にまっすぐは飛べませんし、巣穴や飛行場の付近の障害物を避けるのも、限界があるのです。



ところが、この鳥類の常識を打ち破る種がほんの数種類だけ存在します。そのなかで、もっとも人間に身近なのが、スズメなのです。


(b)巣箱の入り口を下に向けて設置しますと、スズメだけが営巣します。他の鳥たちは、まったく巣箱の中に入れません。これは、スズメの持っている、ホバリングといわれる特殊な飛翔技術があるからです。


ホバリングとは一般的に空中で停止することですが、スズメは停止するだけではなく、身体を縦にしたまま、上下左右に向かって移動(飛ぶ)することができるのです。家屋の軒天井に穴が開いている場合、スズメが営巣してしまうのは、この特殊能力があるからなのです。


ホバリングで有名な鳥類としては、日本ではカワセミ、海外ではハチドリがいます。これらの名前を聞くと、イメージがわくでしょうか。人間の目では速すぎて見えないほど、翼を大きく前後に羽ばたいて、ホバリングをします。実は、普段は目撃することが少ないのですが、スズメも同じように翼をとても早く前後に羽ばたいてホバリングをします。



条件2 穴の脇に障害物があること


(c)巣箱設置の二つ目の注意点です。巣箱の入り口の前には、あまり枝などがなく、開けた空間が好まれます。鳥の飛翔は、翼で推進力を作り、その推進力が翼の形状によって、浮力になります。簡単に言えば、飛行機のプロペラと主翼の役目を、鳥たちは翼一つでやっているわけです。飛行機は、飛行場の周りには高い建造物が無いほうが離陸も着陸も楽です。鳥たちも同じです。


さて、スズメのホバリングのためには、翼を大きく早く動かす必要があります。そこで、巣箱の縦穴の横に障害物を設置してみると、障害物に翼が当ってしまうので、穴の近くではホバリングができません。その結果、スズメは飛翔によって直接縦穴に入ることができなくなります。



(d)ただし、この障害物を材木で作った場合には、スズメは縦穴に入ることができてしまいます。もともと、多くの鳥類は樹木の幹の垂直面に停まることができます。そして翼を使わなくても足だけでも移動が可能です。瓦の袖部から侵入して営巣するのは、足を使って移動するからです。軒先から瓦の下への侵入も、大半がまず軒先に停まってから、足による移動です。




条件3 障害物が木材以外の固い素材であること


(e)そこで、縦穴の脇に設置する障害物が、材木以外で鳥類が留まることができない材質のものを使用しますと、もうスズメはこの縦穴に入ることができなくなります。どんな鳥も入れません。





結論をまとめましょう。

どんな鳥類も入ることができない穴とは、縦穴で、穴の脇に障害物があり、その障害物が材木以外の堅い材料である事。


この三つの条件がそろったときに、たとえ、巣穴になりそうな大きさの穴であっても、どんな鳥類も営巣できないのです。



スズメの軒瓦の下への侵入経路の多くは、まず軒部に留まり、そこから足を使っています。軒先から瓦の先端に向かうように面戸による返しがあれば、スズメはホバリングで侵入するしかありません。


しかし軒瓦の垂れや万十が障害物となりホバリングができません。もちろん足で瓦に留まることもできないので、スズメは瓦の下に侵入できなくなります。


「新らくらく軒面戸和形1号」は、軒先から和形瓦の垂れ部へ延びる構造なので、スズメは軒先から足を使って入れません。


面戸と軒瓦の万十や垂の間に穴ができます。しかしこの穴こそ、縦穴であり、万十や垂れが障害物となり、さらに障害物となる瓦にはスズメが留まれませんので、三つの条件を満たしています。


このためかなり大きな隙間が空いても、スズメなどが入ることができません。スズメの胴体と翼の長さを考慮すれば、理論的には、面戸と万十の間に8cm以上の隙間がないと、侵入できません。


条件1 縦穴であること

条件2 穴の脇に障害物があること

条件3 障害物が木材以外の固い素材であること

スズメのホバリング

翼を大きく動かしてホバリング

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